予防歯科と口腔ケアのお役立ち情報を発信

噛むと歯が痛む…もしも歯周病が原因だったら歯医者で治療をしましょう

トップ

歯周病の予防

噛むと歯が痛む…もしも歯周病が原因だったら歯医者で治療をしましょう

噛むと歯が痛いタイトル

噛むと歯が痛む…もしも歯周病が原因だったら歯医者で治療をしましょう

更新日:2023.06.19

歯周病の予防

歯がグラグラして噛むと痛い場合は、歯周病の可能性があります。しかも、かなり進行した状態で、歯を失うかどうかの瀬戸際ともいえるでしょう。一刻も早く歯科を受診する必要があります。この記事では歯周病の症状や、噛むと歯が痛む場合どのような治療を行うのかについて、歯科衛生士の島田千歌が解説します。

噛んだ時に歯が痛くなる原因

虫歯ではなく、他の理由で歯に痛みを感じることがあります。ここでは、噛んだ時に歯の痛みが生じる原因として考えられるものをあげていきます。

①咬合性外傷
歯ぎしりや食いしばりなどで歯に無理な力がかかっている場合、その部分にダメージが加わり、噛んだ時の痛みを生じることがあります。

②歯周病
歯周病は歯垢(プラーク)という細菌の塊が主な原因です。初期の自覚症状はなく、気が付かないうちに進行してしまうことも少なくありません。歯周病菌の出す毒素により、歯ぐきや歯を支えている骨が破壊されて歯に揺れが出てくると、噛んだ時に痛みを感じるようになります。

③根尖性歯周炎
根の先に炎症を起こし、膿がたまった状態です。歯の神経が死んでしまった場合や、根の治療をした歯に細菌が再感染して起こります。噛んだ時に鈍い痛みを感じます。

④歯根破折
何らかの原因で、歯の根が折れてしまっている場合にも噛むと痛みを感じることがあります。レントゲン写真で確認できることもあります。

⑤上顎洞炎
上顎洞という上の顎部分にある空洞に、膿や鼻水が溜まってしまう病気です。蓄膿症とも呼ばれています。風邪やアレルギー性鼻炎の他、虫歯や歯周病でなることもあります。

歯周病が進行すると歯が痛くなることも

歯周病は進行度合いによって「軽度・中等度・重度」という段階に分けられています。それぞれの症状は次の通りです。

軽度

歯ぐきに炎症が起きている「歯肉炎」の状態です。歯ぐきが赤く腫れ、歯磨きすると出血したりします。この段階では、歯科医院で溜まった汚れを取り除いてもらい、新しい汚れが溜まらないような歯磨きを続けることで、歯ぐきの炎症は徐々に治まっていきます。

中等度

歯ぐきだけではなく、歯を支えている顎の骨まで炎症が起きた状態です。軽度の時よりもさらに歯ぐきが腫れて出血も多くなります。

歯周病菌が出す毒素により顎の骨が溶かされてしまうため、歯ぐきが下がり歯が長くなったように見えます。また、歯と歯の間の隙間が大きくなって食べ物が詰まりやすくなったり、口臭が気になるようになるのもこの段階です。

重度

歯周病がかなり進行した状態です。歯ぐきの炎症はよりいっそう強くなり、膿も出てきます。歯がグラグラして、噛むと痛みを感じるようになります。やがて歯を支えきれなくなると、歯が抜け落ちてしまう段階です。

2021年には歯周病の新しい分類法が発表され、全身疾患との関係性なども合わせてさらに細かい分類になりました。いずれにしても、歯周病が疑われる場合には一刻も早く歯科を受診しましょう。

参考:日本歯周病学会「歯周病の新分類への対応 」

歯医者での治療が必要な可能性がある

歯が痛む女性と歯医者

残念ながら、歯周病はそのままにしておいても治ることはありません。時間が経てば経つほど手遅れになってしまいます。

歯周病かもしれないと思ったら、なるべく早く歯科を受診するようにしましょう。そして治療を受けることが非常に大切です。歯周病の治療は、次のようなものを行います。

1.ブラッシング指導・生活指導
歯周病の原因である歯垢を取り除くブラッシングは、非常に大切な歯周病治療の基本です。歯磨きや歯間ブラシの使用などの指導を受けます。

また、喫煙や生活習慣などについても指導があることもあります。

2.歯石除去
超音波と水の出る機械を用いて、歯石を除去します。

3.不適合な被せ物のやり直し・噛み合わせの調整
合っていない被せ物などがあると、境目に歯垢がたまりやすくなるため、必要に応じてやり直しが必要になります。さらに、全体の噛み合わせの確認や調整を行います。

4.歯周外科処置・抜歯
歯周ポケットという歯と歯ぐきの間の深い部分に歯石が付いている場合や、歯周病が進行している時には外科的な処置が必要になります。さらに歯が残せない状態であれば、周りの歯への影響を避けるために抜歯することもあります。

5.全身の健康管理
糖尿病などの全身疾患は歯周病と関係してます。また服用している薬の影響で歯ぐきが腫れることもあるため、内科との連携を行うこともあります。

6.抗菌療法
抗菌薬(抗生物質)を使用して炎症を抑える方法です。

7.メインテナンス
歯周治療後は、再発防止のために定期的なメインテナンスが重要です。

歯周病は再発するため定期的にメインテナンスが大切です

30歳以上の日本人のうち、約80%が歯周病だといわれています。歯周病によって痩せた歯ぐきや顎の骨は、治療をしても元に戻すことはできないため、なる前に防ぐことが一番です。

しかし「沈黙の病気」といわれるほど自覚症状がないうちに進行するため、日頃から定期検診で歯医者に通うことが大事です。

歯周病なってしまった場合は、少しでも早く歯科医院で治療を受け、ご自分の歯を長く持たせるために定期的にメインテナンスを受けるようにしましょう。

記事を検索する