予防歯科の頻度は何ヶ月に1回が良い?正しい定期検診の頻度は人によって違う
更新日:2023.02.20
できるだけ長く自分の歯を使い続けるには、虫歯や歯周病の予防が欠かせません。そのためには、歯医者で定期検診を受けることが効果的とされますが、人によっておすすめの頻度が異なることをご存じでしょうか?
今回は歯科衛生士のNYUiiiが予防歯科の適切な頻度とその理由について分かりやすくご紹介します。効率の良い口腔ケアをご希望の方は参考にしましょう!
目次
予防歯科は3ヶ月に1度の定期検診がおすすめ
歯を長持ちさせるには、虫歯・歯周病の早期発見が必要です。歯が耐えられる治療回数には限りがあるため、治療をしない状態を維持することがもっとも大切なポイントだといえます。
そのために欠かせないのが「定期検診」です。歯医者のほとんどが3ヶ月に1度受けることをおすすめしています。
なぜ3ヶ月ごとが推奨されるのか?
定期検診が3か月に1回が目安といわれているのには、歯周病菌の増殖頻度が関係しています。歯周病菌は虫歯の原因菌とは異なり、虫歯菌が少なくて歯周病菌が多い方も少なくありません。
歯科医院のクリーニングを受けてそのあとご自宅で丁寧なお手入れを続けていても、3か月後には歯周病菌の数はもとに戻ってしまいます。それ以上放置すると、細菌数が増えて歯周病の発症・悪化につながるため危険です。
歯周病は進行しても自覚症状がほとんどないことから、プロのチェックが必要不可欠といえるでしょう。
しかし、3か月に1回はあくまで目安であり、すでに細菌数が多い傾向にある方は1~2か月に1回の頻度がベストな場合もあります。適切な頻度を知るためには歯科医院での検査が必要ですので、まずは一度ご相談ください。
定期検診の内容
歯医者によって多少違いはありますが、基本的な内容は以下のとおりです。
カウンセリングと視診・触診
まず最近の状態や変化を確認し、次にお口のなかを視診・触診します。
歯周病の検査では、プローブとよばれる器具を使って歯ぐきの深さを測り、1~2mmは問題なし、3mm以上の場合は歯周ポケットと判断します。歯周ポケットがあると歯周病と診断されるため、1~2mmの状態に戻すためのケアが必要です。
スケーリング(歯石除去)
歯垢が同じ部位に2日間放置されると歯石に変化しやすくなります。歯ブラシの毛先の力では落とすことができなくなるため、歯医者でのスケーリングが必要です。
機械や器具を使って丁寧に落としていきますが、歯石が多いと施術中にしみることがあるため、そのときは我慢せずに伝えるようにしましょう。
歯石を除去した後は、歯の表面を専用のペーストで磨き上げて、汚れがつきにくい状態に仕上げます。
レントゲン検査
レントゲン検査では、歯の内部や形、歯槽骨、神経の位置、顎関節の状態などを知ることができます。
お口全体を確認できるパノラマレントゲンは基本的に2年に1回撮影し、部分的に確認できるデンタルレントゲンは虫歯の疑いがあったり、根っこの治療で薬がきちんと入っているかを確認したりするときに撮影します。定期検診の度に撮影するとは限りません。
マウスピースや入れ歯の確認
歯ぎしり用のマウスピースや入れ歯を使用している場合は、噛み合わせや痛みの有無を確認します。穴が開いたり、破損している部位があったりすると修正や作り直しが必要です。
使用中の方はたとえ見た目に問題がなくても、定期検診のときには持っていくようにしましょう。
定期検診で得られる効果
定期検診の1番のメリットは「予防」です。虫歯治療は組織を元に戻すのではなく、あくまで詰め物や被せ物などの人工物を使って修復するため、永遠に受けられるものではありません。ご自分の歯をできるだけ削らずに健康な状態を維持するためには、予防の意識を高くし、万が一トラブルがおきてもすぐに対処できる環境を作ることが大切です。
清潔な印象をキープする役割も
定期検診でクリーニングを受けることで、歯石や着色汚れを除去し、清潔な状態を維持できます。
日常でできる口腔ケアのポイント
定期検診の効果を十分に得るためには、普段のお手入れも丁寧に行う必要があります。
歯ブラシだけでは全体の6割程度しか汚れを除去できないため、歯間ブラシやデンタルフロスといった補助用具も合わせて使うようにしましょう。歯間ブラシは適切なサイズを使用しないと歯ぐきを傷つける恐れがあります。
サイズが分からない方は購入前に歯科医院でご確認ください。選び方やお手入れ方法も合わせて分かりやすくご説明いたします。
歯ブラシや補助用具の正しい使い方については、以下のページも参考になります。ぜひご覧ください。
お手入れだけがセルフケアではありません。虫歯や歯周病を予防するには、食生活にも注意する必要があります。制限なく甘いものや柔らかいものばかりを食べていると、虫歯のリスクが上がるだけでなく、成長期であれば顎骨の成長の妨げになる恐れもあるため改善がおすすめです。
硬さだけでなく栄養素にも注目すると、より健康的な食生活を送れるでしょう。ぜひこの機会に歯に優しい栄養素やレシピを知って、毎日の生活に取り入れてみてください。ご家族やパートナーのお口の健康を守ることにもつながるため、メリットは大きいといえます。
虫歯リスクの高い人は1〜2ヶ月に1度
歯の質や唾液の力などは個人差があるため、すべての方に3ヶ月に1度の定期検診が適切だとは限りません。特に、歯磨きをつい忘れてしまいがちな方や、すでに虫歯がある方、痛みを感じる方、歯ぐきから出血がみられる方、喫煙習慣がある方の場合は通常よりもリスクが高いため、1~2ヶ月に1度の検診をおすすめしております。
スケーリングを徹底し、その後のブラッシング指導で磨き癖を改善しましょう。
繰り返すことで検査時の痛みは減少する
歯ぐきの腫れや出血がみられる方は、検査やクリーニング時に痛みを感じやすい傾向にあります。炎症がおこっていると刺激に敏感になり、健康な状態では問題のない処置でも、痛いと感じるようになるのです。
できるだけ痛みをおさえられるよう工夫をしますが、ゼロにはできません。クリーニングを数回繰り返して普段のお手入れを改善することで、徐々に歯ぐきの状態が良くなり、処置の痛みも少なくなります。
お口の健康状態が良い人は6ヶ月に1度
虫歯や歯周病ではない場合や、セルフケアが十分にできているとこちらが判断した場合は、6ヶ月に1度の定期健診でも問題ありません。ただし、異変がみられた場合はすぐにご連絡していただくようお伝えしております。
質の高いセルフケアにするには、正しいお手入れ方法を知る必要があるため、まずは歯医者でブラッシング指導を受けることから始めましょう。
お口の状態にあった頻度で予防をすることが大切
定期検診の頻度は、人によってさまざまです。3ヶ月に1度が基本ですが、虫歯や歯周病のリスクが高い場合は1~2ヶ月に1度のほうが悪化防止に役立ちます。
そのぶん費用はかかりますが、悪化すると治療費が高くなり、定期検診よりも高額になる可能性も十分考えられます。忘れずに通うようにしましょう。
予防や早期発見・早期治療ができる定期検診を受けて、歯を失うリスクをなくすことが大切です。