予防歯科のスケーリング(歯石除去)とは?痛みや出血があっても平気?
更新日:2023.07.07
歯医者で行う予防歯科の代表的な処置の1つに、スケーリング(歯石除去)が挙げられます。定期的に受けるのが効果的ですが、なかなか実践できていない人も多いのではないでしょうか。
今回は、歯科衛生士のNYUiiiがスケーリングで得られるメリットと注意点を分かりやすくまとめました。歯の健康を守りたい方はもちろん、できるだけ痛みをおさえる方法も紹介しています。スケーリングが苦手な方も参考にして健康なお口に戻しましょう。
目次
スケーリングとは?歯石はどうやって除去する?
スケーリングとは、器具や機械を使って歯石を除去する処置を指します。
歯石は歯垢(プラーク)を長時間放置することで形成されるものであり、表面がざらついているため、そのままにしておくと通常よりも汚れがたまりやすくなります。
また、歯と歯ぐきの間の歯周ポケットにできた歯石は、ポケット内に歯垢を溜まりやすくし炎症を悪化させてしまうでしょう。
歯石は硬いため歯ブラシの毛先の力では除去できず、専用の器具や機械を使う必要があります。どんなに丁寧なお手入れを心がけていても磨き残しをゼロにすることは難しいので、定期的にクリーニングを受けることが大切です。
出典:厚生労働省e-ヘルスネット「PMTC(歯石除去・歯面清掃)」
スケーリング時は痛みや出血があることも
スケーリングは「スケーラー」と呼ばれる器具または、エアスケーラーや超音波スケーラーと呼ばれる機械を使っておこないますが、それぞれ痛みのでやすさに違いがあります。
歯石を除去するスピードは機械のほうが早いですが、歯ぐきが腫れていたり、もともと知覚過敏があったりすると、痛みがでやすいため気をつけなくてはいけません。痛みが強い方には機械ではなく、器具で対応します。
スケーリング時の痛みを抑えてもらえる
痛みの出やすいエアスケーラーや超音波スケーラーを使用する場合は、歯石の付着具合や患者様の痛みの感じやすさに合わせてパワーを調節します。パワーを弱めすぎると手用の器具を使ったほうが早く取れることがありますので、状況に合わせて切り替えます。
器具の場合は担当する歯科衛生士の技術によって痛みが左右されやすいのが特徴です。歯や歯ぐきを傷つけないように、丁寧に1歯ずつ時間をかけて歯石を除去します。
歯ぐきが腫れている場合は、たとえベテランの歯科衛生士だとしても出血することもあります。
スケーリング後の痛みや出血は一時的なものがほとんど
付着している歯石の量が多ければそれだけ、スケーリング後の痛みや出血はおこりやすくなります。しかし、一時的なケースがほとんどなので心配はいりません。
スケーリングの直後に強い痛みが残っている場合は、しみ止めを塗ることも可能です。我慢せずに伝えるようにしましょう。
歯石除去のメリットは歯周病や口臭の予防
歯石は歯垢と同じく細菌の塊です。放置すればそれだけ虫歯や歯周病、口臭のリスクが上がるため、定期的に除去するようにしましょう。
お口トラブルのなかでも歯周病は、歯ぐきからの出血や排膿(膿がでること)によって口臭が強まる傾向にあります。いくら歯の頭の部分を念入りに磨いたとしても、歯の根元が磨けていなければ歯石がつき、歯周病を引き起こします。
歯ぐきのなかに歯石が入り込むと歯周病が悪化しやすいため、入り込む前に除去することが大切です。
定期的に受けることで清潔なお口を維持できる
お口トラブルは急におこるものではありません。とくに歯周病や口臭は自分では気づきにくいため、自覚症状がなくても定期的にクリーニングを受けることをおすすめします。トラブルのない清潔なお口を維持しましょう。
歯石除去のあとはブラッシング指導でお手入れレベルをアップ
お手入れに自信がない方や歯石の付着が目立つ方には、ブラッシング指導もおこなっております。歯ブラシの持ち方や動かし方、毛先の当て方、力の入れ方などを分かりやすくお伝えし、デンタルフロスや歯間ブラシといった補助用具の使い方についても説明します。
無意識のうちに身につく磨き癖は、磨き残しの原因になりがちです。定期的にブラッシング指導を受けて、正しい磨き方を維持しましょう。
ブラッシング指導を受ける際は、普段お使いの歯ブラシをお持ちいただくと、より分かりやすくお伝えできます。
定期的なスケーリングでお口トラブルを予防しよう
予防歯科のスケーリングでは、専用の器具や機械を使って普段のお手入れでは落とせない歯石を徹底的に除去します。
機械によるスケーリングは短時間でできますが、歯ぐきが腫れている方や、もともと知覚過敏のある方は痛みを感じやすいので注意が必要です。心配な方は事前に担当の歯科衛生士に相談しましょう。
歯ぐきの腫れが原因で痛みが強い方の場合は、クリーニングを重ねることで歯ぐきが引き締まり、痛みが和らぐ傾向にあります。怖がらずに受けて健康な歯ぐきに戻しましょう。今以上に悪化させないことがなにより大切です。