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歯周病で歯が抜ける年齢はいつ?健康な時から歯科検診で予防しましょう!

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歯周病の予防

歯周病で歯が抜ける年齢はいつ?健康な時から歯科検診で予防しましょう!

歯周病で歯が抜ける年齢はいつ?健康な時から歯科検診で予防しましょう!

更新日:2023.06.26

歯周病の予防

日本人は「30歳以上の80%が歯周病」ともいわれています。歯周病は年齢を重ねたらなるイメージがあるかもしれませんが、実は若年層でも増えています。
自覚症状なく進行し、最終的には歯が抜けてしまう病気ですが、予防も可能です。今回は、歯周病で歯を失わないために知っておくべきことを歯科衛生士の島田千歌が解説します。

歯が抜ける原因は歯周病がトップ


歯を失う原因というと、まず虫歯を思い浮かべる方が多いかもしれません。2018年に公益財団法人8020推進財団が行った「第2回 永久歯の抜歯原因調査」では、歯を失う原因のトップは「歯周病」だといわれています。

またこの調査では、歯が抜ける原因について次のように発表しています。

●第一位 歯周病 37.1%
重度の歯周病で歯が抜けてしまったり、歯周病が原因で抜歯したりすることがあります。

●第二位 虫歯  29.2%
虫歯が大きく、残っている歯の部分を残すことができない場合など、虫歯が原因で抜歯に至ることがあります。

●第三位 破折 17.8%
何らかの原因で、歯や歯の根の部分が折れてしまい、歯の保存ができないため抜歯となるケースです。

この結果からわかるように、歯を失う原因の40%近くは「歯周病」です。

では、そもそもなぜ歯周病で歯が抜けてしまうのでしょうか。

歯周病になるとまず歯茎が腫れたり、歯磨きの時に出血したりする症状が出てきます。こうした症状は歯周病の初期で「歯肉炎」と呼ばれ、歯茎のみに症状がある段階です。

この場合は、炎症の原因となる「歯垢」や「歯石」を取り除き、できるだけ磨き残しのない状態を続けることで改善が見込めます。

しかし、歯肉炎の段階で気が付かずに進行すると、歯茎の炎症が強くなるのに加えて、歯を支えている顎の骨まで溶かされてしまいます。そして歯を支えきれないところまで骨が失われると、歯が自然と抜け落ちてしまうというわけです。

出典:公益財団法人8020推進財団「第2回 永久歯の抜歯原因調査」p.4

歯周病で歯が抜ける年齢は?

歯周病が若年層にも増えているとはいえ、実際に歯が抜けてしまう年齢はどのくらいなのでしょうか。

先ほどの調査の年代別結果では、歯は30代から抜け始め、40歳を超えてから急に増加するとされています。その後、55歳以降で歯周病による抜歯が虫歯による抜歯を追い越し、60歳代からはまた急増します。

反対に、虫歯が原因の抜歯の割合は、40歳以降に減少し、80歳以降でまた増加するという結果です。

そのほか、重度の歯周病で「治療をしても歯を残せない」と歯科医師が診断した場合、やむを得ず抜歯することもあります。そのままにすることで周りの歯にも悪影響を及ぼしてしまうためです。このことからも、歯周病になる前の予防が大事だといえるでしょう。

出典:公益財団法人8020推進財団「第2回 永久歯の抜歯原因調査」p.4

歯が健康な時から歯周病予防を意識しましょう


虫歯の場合は、早いうちに治療を行えば歯を使い続けることができますが、歯周病で抜けてしまった歯は元には戻せません。

歯が健康でも、抜けてしまっては食事をすることができないですよね…さらに、見た目の問題もあります。

ただ歯周病は、ほとんどの場合で予防が可能とされている病気です。歯周病になる前の歯茎が健康なうちから、防ぐことが非常に大切なポイントとなります。

また、子どもの歯周病が増えているといわれますが、歯周病で歯が抜けるのは年齢を重ねてからで、子どもではそのような話は聞かないでしょう。

若年層で増えているのは「歯肉炎」という歯周病の初期段階です。歯周病は菌が引き起こす感染症のため、お口に歯周病菌が存在していれば、子どもでもなり得ます。

大人のように重度の歯周病にならないのは、免疫力や新陳代謝が活発であることなどが関係していると考えられます。生活習慣病や全身疾患などと同じように、歯周病も健康なうちに予防することが必要だということがお分かりいただけるのではないでしょうか?

そのためには、何も問題がないうちから歯科検診に通い、歯周病予防のためのブラッシングや生活習慣などをつけていくことが大切です。

歯周病予防のためには定期的な歯科検診が必要

歯周病は初期に自覚症状がないため、自分では気が付かないうちに進行してしまうことが非常に多い病気です。磨き残した歯垢や噛み合わせ・喫煙など、色々な要素が原因となり、それらが重なって歯周病は生じます。

主な原因は磨き残した「歯垢」と呼ばれる細菌のかたまりであるため、毎日の歯磨きでできるだけ多くの歯垢を取り除くことが重要です。しかし、歯磨きをどんなに頑張っても、セルフケアのみで100%歯垢を取り除くことは難しいでしょう。

ご自身での念入りなセルフケアとともに、歯科医院での定期的なチェックとクリーニングを受ける必要があります。

子どものうちから歯肉炎があるというのは、将来を考えると心配です。今は新陳代謝や免疫力が高いおかげで歯肉炎にとどまっているだけで、その状態のまま歳を重ねていたら、重度の歯周病になっているかもしれません。

いつまでも自分の歯で美味しく食事を楽しむために、ぜひ健康なうちから定期的に歯科検診へ通う習慣をつけるようにしましょう。

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