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アルコールと虫歯の関係はある?飲酒時に役立つ虫歯予防の豆知識

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アルコールと虫歯の関係はある?飲酒時に役立つ虫歯予防の豆知識

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アルコールと虫歯の関係はある?飲酒時に役立つ虫歯予防の豆知識

更新日:2023.05.28

虫歯予防

古くから 「酒は百薬の長、されど万病の元」といわれています。適度の飲酒には気持ちをリラックスさせたり、血行を促したりする効果がある一方で、過度な飲酒を続けると肝機能障害や糖尿病、うつ病などの罹患リスクを高めてしまうとされています。
それでは、アルコールは歯の健康にも悪影響を与えるのでしょうか。今回は管理栄養士の石松が虫歯とアルコールの関係について詳しく解説します。

アルコールが虫歯を引き起こす原因

結論からいうと、アルコールが直接虫歯の原因になるわけではありません。ただし、過度な飲酒は虫歯菌が好む環境を作ってしまいます。

利尿作用で唾液の分泌が減る

一見すると、飲酒は水分補給のようです。しかし、実際はアルコールを飲めば飲むほど、利尿作用が働いて脱水状態になり、唾液の分泌量を低下させてしまいます。

唾液は口腔内の汚れを洗い流す・細菌の繁殖を抑える・歯を再石灰化させるといった効果があり、虫歯を防いでいるのです。そのため、唾液の分泌量が減って口腔内が乾燥すると、虫歯が進行しやすくなってしまうでしょう。

お酒に含まれる糖質

アルコールのなかでも、とくに注意が必要なのが甘いカクテルや梅酒です。これらには、虫歯菌の大好物である砂糖が大量に含まれています。虫歯菌は砂糖をエサにして酸を作り、歯を溶かしてしまうのです。

糖質を含まないお酒にはウイスキー、焼酎、ジンのような「蒸留酒」が挙げられます。虫歯に気をつけているのであれば、上記の蒸留酒を選ぶよう意識しましょう。

就寝前の歯磨きがおろそかになる

つい飲みすぎた日に歯磨きをせず、そのまま寝てしまった経験は、誰もが一度はあるのではないでしょうか。就寝前の歯磨きを怠ると、食べかすで汚れたままの口腔環境で長時間過ごすことになり、虫歯菌は増殖しやすい環境になります。

また、睡眠中に行われるアルコールの分解でも水分を必要としています。そのため脱水が進み、口腔内の環境はより悪化してしまうのです。

このように虫歯予防の観点においても、アルコールの飲み過ぎには注意していきたいところです。

虫歯リスクの低いアルコールは蒸留酒

お酒のなかにも虫歯になりやすいものとなりにくいものがあります。糖質が含まれていないウイスキーや焼酎、ジンなどの蒸留酒は前者です。そのほかについても、以下で詳しく紹介します。

虫歯リスクの高いお酒

お酒は大きく3つに分類されます。酵母によってアルコール発酵させた「醸造酒」、醸造酒を蒸留させた「蒸留酒」、醸造酒や蒸留酒に果実や糖を加えた「混成酒」です。

このうち虫歯リスクの高いお酒は、糖質を多く含んでいる醸造酒と混成酒といわれます。醸造酒の代表的なものにワインやビール、日本酒があります。混成酒は梅酒などの果実酒やリキュール類です。

また、醸造酒の中でもワインは糖質量が少ないです。ただし、甘口ワインやスパークリングワインには糖質が多く含まれているので注意しましょう。

虫歯リスクの低いお酒

蒸留酒は、加熱した醸造酒の蒸気を冷やすことでアルコール分を液体にして集めたものです。そのため糖質がほとんど含まれていません。

焼酎やウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ジン、ラムなどの蒸留酒は虫歯リスクの低いお酒といえます。頻繁に飲酒する方は虫歯リスクの低い蒸留酒を選びたいところです。

虫歯予防のためにアルコールを飲む際のポイント

虫歯予防にはだらだらと長時間飲み続けないことも重要です。飲んだら速やかに歯磨きをして、口腔内を清潔に保ちましょう。

唾液が口腔内を清潔に保つ

唾液の量を減らさないためには、脱水予防を心がけます。飲酒の際は意識的に水分を摂るほか、体内での解毒処理が追いつかないような大量のアルコール摂取も脱水を招く原因となるので注意しましょう。

アルコールは種類を選んで虫歯予防

虫歯予防に気を遣っている方は、虫歯菌のエサである糖質を多く含む梅酒やカクテルの量を意識しましょう。
また酸性のアルコールが歯を溶かす原因になることもあります。だらだらと飲んでいると、長時間にわたって歯を酸性にさらすこととなり、虫歯のリスクを高めてしまうのです。

とくにワイン、ビール、ハイボールなどは酸性度が強く、ジンや焼酎、ウイスキーは酸性度が低いといわれています。このような理由からもウイスキーや焼酎、ジンは虫歯になりにくいお酒といえるでしょう。

アルコールは飲み方を工夫して虫歯予防を!

過度なアルコール摂取が生活習慣病のリスクを高めるように、虫歯予防においても適量の飲酒を意識することが重要です。
とくにアルコールによる脱水は虫歯菌の繁殖する環境を作ります。適切な水分補給を心がけ、就寝前の歯磨きは忘れないようにしましょう。
アルコールと上手に付き合うためのポイントを守りつつ、虫歯予防を心がけることが大切です。

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