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歯磨きは1日に何回している?1日2回という調査結果は本当か検証

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歯磨きは1日に何回している?1日2回という調査結果は本当か検証

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歯磨きは1日に何回している?1日2回という調査結果は本当か検証

更新日:2022.10.16

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虫歯や歯周病だけでなく、口臭の予防にも欠かせない歯磨きですが、人によって頻度やタイミングはまちまちです。
1日に10回近く歯磨きをする人がいる一方、1ヶ月でほとんど磨かない人もいるという話を聞くこともあります。
みなさんは1日にどのくらいの頻度で歯を磨いていますか?
今回は会社が行ったアンケートや厚生労働省が行った調査結果をもとに、日本人が平均で1日に何回歯を磨くのかご紹介します。

歯磨きは1日に何回する?厚生労働省の調査結果を解説

歯磨きをすることで歯垢(プラーク)を取り除くことができ、虫歯や歯周病、口臭などの予防につながります。
読者のなかには、歯磨きを毎日しているという方も多いのではないでしょうか?
しかし、なかには「歯磨きが面倒くさい…」と思っている方や、「昨日歯磨きをしたか忘れた」という心当たりがある方もいるでしょう。

それでは、日本人は1日に何回歯を磨くのでしょうか?
数年に1度、厚生労働省は「歯科疾患実態調査」を行っており、結果が公開されています。そのなかに歯を磨く頻度に関する記載があるため、今回はこの結果から見ていきましょう。
なお、今回は最新の平成28年実施の結果を使用します。対象は国民健康・栄養調査において設定される地区から抽出された6,278人(男2,868人、女3,410人、満1歳以上)です。

毎日2回以上歯磨きをする人は77%

歯科疾患実態調査結果によると、平成28年時点で毎日歯磨きをする人の割合は95.3%にのぼります。
さらに「2回」「3回以上」と回答した人が多く、合計で全体の77.0%を占めました。この数字は調査の度に増加を続けています。

また、毎日ではないものの時々歯磨きをする人は1.5%で、「磨かない」と答えた人は0.4%でした。
歯磨きは毎日するわけではないという方もいる結果になりましたが、その数はわずかで少数派になっています。
結果から、日本人の多くは2回以上歯磨きをすることが分かりました。非常に歯磨き熱心な国であるといえます。

表1:歯磨きの頻度

 

調査年 磨かない者 ときどき磨く者 1日に1回 1日に2回 1日に3回以上
平成28年
(2016年)
0.4% 1.5% 18.3% 49.8% 27.3%

出典:厚生労働省「平成28年 歯科疾患実態調査結果の概要」p.31

本当に1日2回歯磨きする?5,800人のアンケートを分析

調査データの分析

厚生労働省の調査結果を見て「本当か?」と私は思いました。
私自身はときどき磨く者(1.5%)に分類されるのですが、大多数が1日2回以上歯磨きをしているという事実はにわかに信じがたいことでした。

「不潔だと思われたくないから、歯磨き回数を盛っているのでは…?」

ということで、完全に自分の思い上がりからハミテクNavi編集部は、約6,000人に歯磨きに関するアンケート調査を実施しました。(有効回答数:5,828人)

アンケート自体は匿名で実施。1週間のなかで、磨かない日数・1回磨く日数・2回磨く日数…を回答してもらう形式にすることで、厚労省の調査より「リアルな実態」を反映しやすくしました。

まずは、回答があった日数を単純に合計してみましょう。結果は以下のとおりです。

表2:歯磨き回数別の日数の合計

 

1日の歯磨き回数 覚えていない(推定値)日数の合計 割合
0回 729 1.8%
1回 7,578 18.6%
2回 16,880 41.4%
3回 8,572 21.0%
4回 1,350 3.3%
5回以上 5,687 13.9%

アンケートや分析方法は異なりますが、厚生労働省の調査と比較してもほとんど同じ傾向を示しました。
やはり歯磨きは1日に2回以上がスタンダードなのですね。疑ってすみませんでした。
なお「覚えていない」は、回答のなかで1人の合計日数が7日に満たない分を加えているため、推定値としています。

歯磨きはだいたい1日2回の人が約半数

続いて詳細にデータを分析します。
回答のあった歯磨き回数別に、過半数(4日)を越えた人数を抽出したところ表3の結果になりました。
日常的に最も多い歯磨きの回数について、人数の面から実態が分かります。

表3:日常的に行う歯磨きの回数
1日の歯磨き回数
0回
1回
2回
3回
4回以上
覚えていない(推定値)
1週間に4日以上の人数
103
1107
2535
1313
195
436
割合
1.8%
19.5%
44.6%
23.1%
3.4%
7.7%

人数を比較してもこれまでの結果と同じような傾向を示しました。
ただ表2と表3を比較すると、「覚えていない」の数値が大きく変化しています。

歯磨きの回数を正確に覚えていないこともある

表2と表3で「覚えていない」の割合が変化したのはなぜでしょうか。
編集部のアンケートでは1週間のうち、歯磨き0回が○日、歯磨き1回が×日…という形式で回答を集めました。
しかし全員が7日間すべての歯磨き回数を記憶しているとは限りません。集計の際には足りなかった日にちを「覚えていない」として集計しました。
そのため、記憶が曖昧になっていた分が表2で「覚えていない」として集計されたと考えられます。

ちなみに結果を分析すると、2回の歯磨きを週4日以上する人でも、5人に1人は覚えていない日がありました。

虫歯になる人は増えている?減っている?

このように歯磨きに熱心に取り組んでいる人が多い日本ですが、口の健康状態はどうでしょうか。
先述の歯科疾患実態調査では、代表的な口の病気である虫歯についても記載があります。

それによると、5歳以上35歳未満では虫歯になる人は減少傾向にあるようです。一方、40〜50代は横ばい、60代以上は増加傾向にあります。
歯磨きに熱心な人が増えたことで、若年層の虫歯が減ったことや、虫歯が減り歯の残存本数が増えたことで、高齢者の虫歯が増加したことが要因として考えられます。

虫歯の割合年次推移

出典:厚生労働省「平成28年 歯科疾患実態調査結果の概要」p.11

歯磨き以外の口腔ケアも活用して予防歯科を実現!

多くの日本人は1日に2回の歯磨きをしているなど、歯磨きに積極的な国民性が調査結果から分かりました。
一方で、歯磨きによって守られた歯が増えることで、高齢者を中心に虫歯になる人が増えている点が課題になっています。

今後さらにお口の健康を守るためには、歯磨きだけでなく、歯科定期検診も含めた口腔ケアの普及が欠かせません。
普段の歯磨き+αを意識して、なるべく長くお口の健康を保っていきましょう。

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