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歯磨きの力加減はどうすべき?「軽い力で小刻みに」がポイント

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歯磨きの力加減はどうすべき?「軽い力で小刻みに」がポイント

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歯磨きの力加減はどうすべき?「軽い力で小刻みに」がポイント

更新日:2023.01.20

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しっかり歯垢を落とそうと歯磨きをすると、無意識に力が入ってしまいがちです。歯医者さんに「優しく磨いて」と言われても、具体的にどのくらいの力加減なのかわからない方も多いのではないでしょうか。
歯磨きの力加減は、歯磨きの効果にも大きく影響します。今回は、正しい力加減や優しく磨くコツについて歯科衛生士の島田千歌がご説明します。

歯磨きで力の入れすぎは逆効果

歯磨きといえば「ゴシゴシ」というイメージが強いかもしれませんが、実はそれ、逆効果です!
お掃除の時と同じように、ゴシゴシ擦ったら綺麗になる気がします。しかしその時、歯ブラシの毛先は、きっと開いてしまっているのではないでしょうか?

歯ブラシは毛先を使って汚れを落とすもので、毛先が開いていると「汚れが除去できていない」可能性が高くなります。また、強い力で磨くことによる悪影響もあります。

歯磨きの力加減が強いことで起こるトラブル

1.歯ぐきを傷つける
強く磨くことにより歯ぐきについた傷を「擦過傷」といいます。しみたりする他、そこから口内炎になってしまうこともあります。

2.歯ぐきが下がってしまう
歯ぐきに必要以上の力が加わると、その刺激で下がってしまいます。「歯ぐきが痩せる」ことは歯周病だけではなく、強い力で磨くことでも起こるのです。

3.知覚過敏の原因になる
歯ぐきが下がると、通常は歯ぐきに守られている歯の根っこの部分が見えてきます。外部からの刺激を受けるようになるため、冷たいものや熱いものなどがしみる「知覚過敏」を起こすこともあるでしょう。

4.歯が削れてしまう
歯ぐきと同様、歯も強い力を加えていると削れてしまいます。「楔状欠損」と呼ばれ歯の根元の部分が楔のように削れた状態で、知覚過敏を伴うことが多くあります。

このように、歯磨きの力加減が強いと多くの悪影響を及ぼします。そして何より気を付けなければいけないのは、一度下がった歯ぐきや削れた歯は元に戻せないということです。

また、知覚過敏に有効な治療法はなく、あくまでも緩和するための処置しかありません。できるだけならないようにした方が賢明です。

歯磨きは軽い力で小刻みに!がポイント

ここでは、歯や歯ぐきにトラブルを起こさない効果的な歯磨きのコツをお伝えします。

1.毛先が開かない程度の軽い力で磨く
毛先が開いていると歯ブラシが磨きたい部分に当たらなくなり、歯垢が良く落とせません。毛先が開きすぎていないか確認しましょう。

2.歯2〜3本の幅で、小刻みに動かす
下の前歯など歯の小さいところは3本、他の場所は2本分の幅が目安です。細かく動かすことで歯と歯の間の部分にも毛先が届きやすくなります。

3.ペン持ちをする
ペン持ちをすると手首が動かしやすくなり、細かい部分にも歯ブラシを当てやすくなります。

4.柔らかめの歯ブラシを選ぶ
硬い歯ブラシの方が磨ける気がするという方もいますが、歯と歯の間に毛先が入りにくくなってしまうため逆効果です。柔らかい歯ブラシは毛先がしなるため、歯と歯の間や段差の部分も届きやすくなります。

歯磨きの力加減が難しい方は

優しく磨いた方が良いとわかっていても、なかなか難しいという方は次のような方法も試してみましょう。歯や歯ぐきへのダメージを和らげることができます。

測りで確認する

ご自宅にあるキッチンスケールなどで歯磨きの力加減を測ってみましょう。歯ブラシを持って、いつも通りにスケールの上を磨きます。ちょうど良い力加減は150〜200gで、思っていたよりも優しい力だと感じる方が多いかもしれません。

力加減の計測
出典元:歯科素材.com

歯ブラシは小さすぎないものを選ぶ

力加減が強い人が硬い歯ブラシを使うと、さらに歯や歯ぐきへ与えるダメージは大きくなってしまいます。それを避けるために、あえて柔らかめの歯ブラシを使うのも手です。小さい歯ブラシと大きめの歯ブラシでは磨いた時の圧の分散も異なるため、同じ力で磨いても与えるダメージは大きめの歯ブラシの方が小さくなります。

センサー付きの電動歯ブラシなどを活用する

電動歯ブラシは手磨きよりもパワーがあるため、つい力を加えてしまった時に歯や歯ぐきに与える影響も大きくなってしまいます。そのため、磨く力の強い方が電動歯ブラシを使用する際は、注意が必要です。

現在は「押しつけセンサー」のついた電動歯ブラシも販売されています。力が強いとカチカチ音が鳴る歯ブラシなども出ているため、こうした商品を活用するのもおすすめです。ただし、電動歯ブラシなら何でもOKではありません。選ぶコツや正しい使い方など、ぜひ歯科医院で教えてもらいましょう。

自分に合った歯磨きの仕方は歯科医院で

「たかが歯磨き」かもしれませんが、正しい歯磨きは意外と難しいものです。1日2回磨くとして1ヶ月で60回、1年では720回私たちは歯を磨いています。力の入った状態で磨き続けていたら、トラブルが起きる可能性も捨てきれません。

また、歯磨きの癖は誰にでもあり、直しても気が付いたら元に戻っていることは珍しいことではありません。歯や歯ぐきの将来に関わることでもあるため、ぜひ定期的な歯科検診と兼ねて、歯磨きのチェックをしてもらうことをおすすめします。

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