歯磨きの歴史を知る!昔の日本人はどうやって歯を磨いた?
更新日:2023.02.03
私たちは今、当たり前のように歯磨きをする習慣がありますが、最初はいつ・誰が始めたのでしょうか。
そして昔から歯ブラシがあったわけではありません。昔の日本人の歯磨きはどのような形式で、どのようにして広まったのでしょうか?
この記事では、歯磨きの歴史について詳しくひも解いていきます。
目次
お釈迦様が歯磨きの習慣を広めた?
歯磨きを最初に始めたのは、一説によるとお釈迦様といわれています。
ここからは、お釈迦様の歯磨きが広まった背景を解説します。
歯を磨く習慣は信仰とともに広まった
歯磨きの始まりは、お釈迦様が「歯木(しもく)」と呼ばれる菩提樹の小枝を使い、歯のお手入れをしていたことにあります。
お釈迦様は、仏教の普及に励むだけでなく、薬物学的な指導もおこなっていました。
あるとき、弟子の口臭が気になったお釈迦様は、戒律の中のひとつとして弟子に口の中を掃除するようすすめたのです。
やがて、弟子の間でも歯磨きが習慣になっていきました。
歯磨きは仏教とともにシルクロードを経て中国へ渡り、さらに朝鮮半島を経由して日本に伝わります。
同時に歯木は、僧侶が持つ仏具のひとつとして伝わりました。
歯磨きが伝来したころは、まず僧侶の間で広まっていき、習慣化するにつれて公家や庶民へと広がっていきました。
庶民の間で歯磨きの習慣が広がったのは、江戸時代のころといわれています。
釈迦が広めた薬木の歯ブラシ
お釈迦様が広めた薬木の歯ブラシは、菩提樹の小枝を加工したものです。
薬木の長さも決まっており、指の幅を基準に4指以上12指以内の長さとされていました。長すぎると先輩の僧侶が後輩をたたいたり、短すぎると誤って喉に詰まらせたりすることがあったためです。
薬木の歯ブラシの作り方は、まず切った小枝の端を噛み、樹液を吸います。さらに噛んでいくと、ほぐれた枝先の繊維が房のようになります。
房のようになった部分で、歯を磨いていました。薬木には薬のような味と香りがあり、邪気を払う効果があるとされています。
昔の日本人はどうやって歯を磨いていたの?
それでは、昔の日本人がどのように歯を磨いていたのかを解説します。
仏教伝来とともに「歯木」(菩提樹の小枝)による歯磨きが伝わる
日本に仏教が伝わったのは、西暦552年と日本書紀に記されています。歯磨きが伝来する以前にも、お口のケアはされており当時の日本は指に塩をつけて歯をこすっていました。
仏教の伝来とともに、歯木を使って歯磨きすることが伝わり、仏教の経典の中で歯磨きに関することが説かれています。内容は、歯木を噛むことで溶け出してくる樹液の成分により得られる功徳があるということです。
功徳の内容は、口臭予防や食べ物を美味しく感じられること、口の中の解熱作用、痰の除去、そして目薬としての効能などです。しかしこの頃は、僧侶や公家の人など高貴な人だけが使っていました。庶民に広がるのはもう少し後のことです。
江戸時代は房楊枝による歯磨きが大衆に広まる
庶民の場合、江戸時代よりも前は食事の後お茶やお水で口をすすぐことで、口の中を清潔にしていました。
江戸時代になると高価な歯木から「房楊枝」へと道具が変わり、そのころから庶民にも広まり始めました。
房楊枝とは、柳や黒文字の枝を細くさいて熱湯の中に入れ、柔らかくした枝の先端を木槌でたたいて房のようにした道具です。房の反対側にある柄の先がとがっており、爪楊枝として歯間のお手入れにも使えるよう考案されています。
房楊枝が庶民の間に広まった江戸時代から、庶民にも歯磨きが習慣化してきました。当時の浮世絵にも房楊枝を使っている様子が描かれています。
幕末から明治初期に歯ブラシが西洋文化とともに流入
幕末から明治初期になると、西洋文化とともに私たちが現在使っている形のような歯ブラシが流入してきたとされています。
西洋の歯ブラシは、銀や骨でつくられた柄に豚や馬の毛を植毛したもので、非常に高価なものでした。庶民にも使いやすいように、鯨ひげを柄に使い馬の毛を植毛した「鯨楊枝」が販売されたものの、残念ながら広く普及することはなかったようです。
お歯黒の風習が残っていた女性にとっては、房楊枝が歯のお手入れに欠かせないものだったからともいわれています。
その後、1914年(大正3年)に現在のライオン社である「小林富次郎商店」から発売された「萬歳歯刷子(ばんざいはぶらし)」により、歯ブラシが本格的に普及していきました。
歯磨きはお釈迦様からのありがたい教え
今回は日本を中心に歯磨きの歴史についてお伝えしました。
普段私たちが習慣的にしている歯磨きは、お釈迦様が原点だったという説があります。
歯磨きがお釈迦様からの教えだとわかると、毎日の歯磨きの習慣もありがたいものに感じられます。
毎日の歯磨きで、健康な歯をいつまでも保ちましょう。