予防歯科と口腔ケアのお役立ち情報を発信

【管理栄養士が解説】お茶の口臭予防効果とは?お茶の力を活かす方法

トップ

口臭対策

【管理栄養士が解説】お茶の口臭予防効果とは?お茶の力を活かす方法

【管理栄養士が解説】お茶の口臭予防効果とは?お茶の力を活かす方法

更新日:2023.01.31

口臭対策

お茶(緑茶)に口臭予防の効果があることは、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
実際、私が管理栄養士として病院に勤めていた頃、介護を必要とする高齢者の口腔ケアにお茶を使っていました。
具体的には、スポンジブラシにお茶を染み込ませて口腔内の汚れを拭い取り、仕上げのうがいもお茶で行っていました。果たして、お茶に口臭予防の効果はあるのでしょうか?今回は管理栄養士の石松が解説します。

お茶(緑茶)は口臭予防に効果がある

結論から言いますと、たしかにお茶には口臭予防効果があるのですが、そこまで大きな効果は期待できません。また、お茶の飲み過ぎは口臭を悪化させる可能性があります。

口臭の原因は?

口臭の大きな原因は、水分不足と舌苔(ぜったい:舌に付着する苔状のもの)の汚れです。口臭予防には唾液の分泌を促し、口腔内を乾燥させないことが重要です。

正常な口腔内は唾液によって潤いを保っており、唾液の抗菌作用や自浄作用は口腔内の汚れを取り除き、細菌の繁殖を防ぎます。ところが、疾患や薬の副作用、脱水、ストレスなどで唾液の分泌が減ると、口腔内は乾燥して、口臭の元になる細菌が増えてしまうのです。

さらに、唾液の分泌量は老化でも減少します。
唾液の分泌量を増やすのが咀嚼(そしゃく)です。ところが歳とともに噛む力が弱くなると、唾液の量は減ってしまいます。また若い頃よりも体内の水分量が減って脱水になりやすいことや、副交感神経が低下することも、唾液の分泌量が減る大きな原因になります。
加齢で口が渇きやすく、口臭が強くなるのには、このような背景があるのです。

お茶の効果は?

お茶による水分補給は口臭予防につながりますが、もし効果がそれだけであれば、水でも良いことになります。そこで注目すべきは、お茶の「リラックス効果」です。リラックスすることで副交感神経が活発になるため、唾液の分泌量が増えます。結果的にお茶を飲んでリラックスすることは、口臭を防ぐことにつながるのです。

カテキンの口臭予防効果は限定的

お茶と茶葉
さらに口臭予防に期待されるのが、お茶に多く含まれるカテキンという成分です。しかし、残念ながらカテキンの口臭予防効果は、それほど大きいものではありません。

カテキンの口臭予防効果は?

緑茶にはビタミンC・E、カロテンのような抗酸化作用を持つビタミン類が多く含まれるほか、渋味成分のタンニン、苦味成分のカフェイン、旨味成分のテアニンも豊富です。
タンニンは、ポリフェノールの一種であるカテキン類を多く含みます。ポリフェノールとは、植物が紫外線などから自らを守るために作る物質です。

カテキンの消臭効果については古くからよく知られており、現在でもそれを使った口臭予防剤や消臭剤が多数製品化されています。茶カテキンのうち、とくにエピガロカテキンガレートには強い抗菌作用が認められています。

しかし、日本歯科大学の研究では、総カテキン濃度0.25%のマウスウォッシュに口臭予防効果があったが、効果は限定的だったとしています。また市販のお茶の総カテキン濃度が、研究で用いられているカテキンの1/100以下の濃度であることを踏まえると、カテキンの消臭効果に大きな期待はできないと考えられます。

お茶の飲みすぎは逆効果。口臭が悪化することも

またお茶の飲み過ぎが、逆に口臭を悪化させることもあります。口臭を悪化させるお茶の成分がカフェインです。

カフェインが口臭を悪化させる?

カフェインには交感神経を刺激して、集中力を高めたり、眠気を覚ましたりする効果があります。自律神経のバランスは交感神経と副交感神経が互いに拮抗して働くことで正常に機能を果たすものですが、交感神経が強くなりすぎると、唾液の分泌を促す副交感神経の働きが抑制されてしまいます。

さらにカフェインの持つ利尿作用が脱水を招くことも、唾液の分泌量を低下させます。このようにカフェインの過剰摂取は口腔内の乾燥を進行させ、口臭を悪化させてしまう可能性があります。

ノンカフェインの飲み物とは?

それでも水分不足を防ぐためには、積極的に水分を摂る必要があります。唾液の分泌を促したいときの水分補給には、カフェインを多く含む緑茶やコーヒーではなく、水や麦茶、ルイボスティーのようなカフェインを含まない飲み物を選びましょう。

お茶は適量を楽しむことで口臭予防に!

口臭予防で重要なのは、唾液の分泌量を増やし、口腔内の潤いを保つことです。
お茶は適度な量を楽しむことで唾液の分泌を促します。ただし飲み過ぎは、口臭を悪化させかねないので注意しましょう。

このほか、規則正しい生活を送ることやストレスをため込まないことで、自律神経のバランスを整えることも唾液の正常な分泌を助けます。
また、よく噛んで食事を楽しむことも口腔内の乾燥を防ぐことにつながります。唾液量を増やす小さな習慣を、毎日のライフスタイルに少しずつ取り入れていきましょう。

記事を検索する